はさみ、蝶結び、そして気持ちのおけいこ
「できる・むずかしいのどちらでも大丈夫」。ジグザグの線を切る小さな手と、初めての蝶結び。日常動作とSSTに取り組んだ金曜日のレポートです。
チョキ、チョキ、チョキ。紙を持つ手が、少しずつ紙を回していく。
金曜日の小学生の活動は、「切る、結ぶ、気持ちを考える」の三本柱。はさみの練習、蝶結びの練習、そして気持ちのSST(ソーシャルスキルトレーニング)に、8名で取り組みました。
この日の合言葉は、「できる・むずかしいのどちらでも大丈夫。自分の今の力を知って、できる方法を見つけよう」 です。
どの線から切ってみたい?
はさみの練習は、持ち方の確認から。親指を上の穴に、紙を持つ手は刃から離して。
切る線は、直線、ゆるい曲線、丸と難易度が分かれていて、「どの線からやってみたい?」と 自分で選ぶ ところから始まります。難しい子には太い線や短い直線、補助線付きの用紙を。慣れてきた子には丸や動物の形を。同じ時間の中で、一人ひとりの「ちょうどいい難しさ」に合わせていきます。
コツは、はさみを動かす手と、紙を回す手の連動。切れた形は台紙に貼って、作品として持ち帰りました。ただの練習で終わらせず、「作れた」に変えるのがnarZE流です。
蝶結びは、4つのステップで
蝶結びの練習には、手順カードが登場します。「クロスする」「穴に通す」「輪を二つ作る」「輪を重ねて引く」の4ステップ。
教材にも工夫があります。色の違う二本のひもなら、どちらの手が何をしているか一目で分かる。太いひもや、大きな穴の結び練習ボードで、握る力や指先の動きに合わせて段階を選べます。固結びまでできた子は、「今日はここまでできた」と現在地を確認。全部できることより、昨日より一歩進んだことを一緒に喜びます。
印象的なのは、スタッフが手を貸す前に必ず聞く一言です。
「ここは自分でできそう? 手伝ってほしい?」
できることまで手伝ってしまわない。本人の希望を確認してから支える。この小さなやりとりの積み重ねが、「自分でできた」の実感につながっていきます。友だち同士で「次はここを持つよ」と教え合う時間には、相手の物を勝手に触らずに許可を聞く練習も、さりげなく織り込まれていました。
イライラは、悪者じゃない
最後はSSTの時間。テーマは気持ちのコントロールです。
narZEでは、イライラや悲しい気持ちを「なくすべきもの」とは教えません。「困った時を知らせてくれる、大切な合図」 だと伝えます。そのうえで、「相手をたたく、物を投げる前に、どの方法を選べるかな」と具体的に考える。深呼吸を3回する、水を飲む、10まで数える、先生に話す、少し別の場所で休む。
締めくくりは、一人ひとりの宣言です。「イライラしたら、10まで数える」。自分で選んだ方法だから、次に困ったとき、思い出せる。
はさみも、蝶結びも、気持ちの切り替えも。どれも「生活の中で毎日使う力」です。派手さはないけれど、こういう一つひとつが、学校でも家でも、その子を支える土台になっていきます。
narZEでは、遊びや制作の中に生活スキルの練習を織り込んだ活動を毎週行っています。お子さんの様子に合わせた支援について、見学・相談ページからお気軽にご相談ください。