食育と科学実験 - 食材から学ぶ
4-6月で30回以上行った食育・科学実験の活動レポートです。きりたんぽ作り、たこ焼き、フルーチェの凝固実験など、食材を通して科学と日本食文化を学びました。
narZE のキッチンは、たいてい賑やかです。
「これ、つぶせばつぶすほど粘り出る」「あれ、なんで?」。誰かがそう言い出すと、別の誰かが「お米って、もともとデンプンだから…」と教科書で聞いたことを思い出す。先生役が次々入れ替わるのが、ここの調理時間のおもしろさです。
4月から6月までで30回以上、食材を通した「料理 + 科学」の活動を続けてきました。小学生と中高生が合同で取り組んだ日もあります。
きりたんぽの日に気づいたこと
4月のはじめ、きりたんぽを作りました。炊いたごはんを、すりこ木で半分つぶれるくらいまでつぶす。完全にお餅にしてしまうとちがう食べ物になるし、つぶし足りないとパラパラとほどけてしまう。
「ちょうどいい」が手の感覚で分かってくるまで、何度もみんなで触りました。「お米はこうやって粘りが出るんだね」と、誰かが小さくつぶやいたのを覚えています。教科書で「デンプン」と書かれていることが、急に手のひらの中の話になる瞬間です。
フルーチェのペクチンに、みんなで驚いた日
4月30日は、フルーチェのペクチン実験。よく市販されているデザートですが、「なぜ牛乳と混ぜるだけで固まるのか」を、果物のペクチンの話から実験しました。
林檎の煮汁を作って、レモン汁と砂糖を加えてゆっくり混ぜると、トロッとしてくる。「これがジャムの仕組みなんだ」と、何人かが冷蔵庫を覗き込んでいました。家にあるジャムの瓶を思い出していたのかもしれません。
たこやきの「焼き加減」は教科書に載っていない
5月の連休明け、たこやき。生地の配合は本に書いてある通りに作るのですが、いざ焼き始めると一気に「現場の判断」になります。
「もうひっくり返していい?」「あと10秒待って」「外側カリッ、中とろっ、ってどのくらい?」。同じレシピでも、火加減と返すタイミングで仕上がりが全然ちがう。失敗した分も含めて全部食べながら、「次はもう少し早めにひっくり返そう」と話し合っていました。
科学実験というと、ビーカーと白衣を思い浮かべてしまいますが、たこ焼き器の前に立つ姿勢も、十分に科学だと思います。
旨味の話で、教室が静かになった日
5月14日は、旨味成分の話を扱いました。昆布のグルタミン酸、鰹節のイノシン酸、椎茸のグアニル酸。それぞれを単独で飲んでみて、組み合わせると一気においしくなる「相乗効果」を体で確かめます。
「これだけだと、お湯に味付けただけ」「でも合わせると、急に和食の匂いになる」。普段ガヤガヤしている時間が、すこし静かになって、みんな小さなお椀を覗き込んでいました。日本食の根っこにある考え方が、舌の上で分かる時間です。
「私の役割」が見つかる時間として
調理は、料理が得意な子だけのものではありません。
材料を計る人、温度を見る人、写真を撮って手順を記録する人、食器を並べる人、片付け担当。毎回、係をローテーションしているうちに、「私はこれが好き」「あれは苦手」が、本人の中で言葉になっていきます。料理そのものよりも、自分のことを少し知る活動なのかもしれません。
何人かは「家でも作りたい」と言って、本当に作ってみてくれたようです。保護者の方から「先週、夕飯にきりたんぽを作ってくれました」というメッセージをいただいた時は、スタッフ全員で読み返しました。narZE での時間が、家の食卓につながっていくのが、何より嬉しい瞬間です。
これからの予定
夏に向けては、もう少し科学寄りの活動も増やす予定です。寒天とゼラチンの違いを比べる、麹の発酵を観察する、地元の野菜の旬を調べる。食べるという毎日のことを、もう少し丁寧に見てみたいと思っています。