夏休みの思い出 - くんま地域での合宿
narZE高校生部で、静岡県浜松市天竜区の「くんま」地域へ合宿に行ってきました。地域の方々との対話を通して、自分たちの言葉で地域を表現する時間を持ちました。

山が深い、というのは、こういうことなんだ ─ 浜松駅から車で1時間半、最後の30分は曲がりくねった細い道を登っていきます。スマホの電波が一回切れてもう一度入って、それでまた切れる。そんな道の先に、私たちが2泊する「くんま」地域はありました。
「ねえ、これ、本当にお店ある場所?」と心配そうにつぶやいていた高校生のメンバーも、宿の前で出迎えてくれた地域の方の柔らかな笑顔を見て、すぐに表情がほぐれました。
「困ってますか?」と聞きにいった夏
合宿の目的は、ただ涼みに行くことでも、観光することでもありません。地域の方たちに「ここで何が起きていますか」「困っていることはありますか」と、本人たちの口で聞きにいくことでした。
事前に質問項目を考える時間も持ちました。「いきなり困りごとを聞くのは失礼かも」「最初は地域の好きなところから聞いてみよう」と、礼儀作法の話し合いも、活動の一部です。
実際に話してみると、地域の方は私たちが思った以上に率直でした。「若い人が来ない」「お店がない」「でも自然はある」。当たり前のように思える話の中に、「で、皆さんはこの地域とどう関わってくれるの?」という、こちらに返ってくる問いがありました。
山の中で、自分たちの言葉を探す
夜は宿で、その日に聞いたことをノートにまとめます。
「この地域の人、誇りを持ってるんだなって思った」「でも、若い人が住めないというのも本当」と、矛盾も含めて書き留めていきます。「答え」を出そうとせず、矛盾のまま持ち帰ってきたところが、この合宿の良いところだったと思います。
朝、川辺で顔を洗いながら、「東京帰ったら、こんな空気覚えてられないな」とつぶやいた高校生がいました。空気そのものを言語化できないことに気づくこと自体が、立派な学びだと感じました。
帰ってからの報告書、そして「次は何ができる?」
合宿が終わってからも、活動は続きます。撮ってきた写真と、書き留めたノートを並べて、報告書をつくりました。
「報告」というより、自分たちが感じたことを、地域の方に「ありがとう」を込めて返す手紙のような気持ちで作っています。中には「来年もまた行きたい」「自分たちで企画した何かを持っていきたい」と書く子もいました。
地域の方からは「若い人の発想は刺激になる」というお声をいただきました。そう言っていただけることが、こちらにも「ちゃんと届いた」という手応えになります。
narZE が「外に出る」理由
施設の中だけで完結する活動も大事ですが、ときには遠くまで出かけて、知らない人と話してみる時間も必要だと考えています。
教室で習う「社会」と、実際に山あいの集落で出会う「社会」は、まったく違います。両方を行き来できる経験が、卒業後にどんな道を選んでも、本人の中に残る何かになると信じています。